うさぎ、飼うことにしたから。
母親から突然の宣言。俺も妹もポカンとして、異口同音に「は?」
母は毎夕に三十分の散歩を日課にしているのが、その道の途中に、うさぎ専門店があるのだという。
うさぎ専門店なのだから、当然うさぎを専門に扱っていて、動物好きの母はついふらふらと店内に寄ってしまうんだとか。
今まではうさぎ専門店に入っても眺めるだけで済んでいたそうなのだが、もう今日は辛抱たまらんかった、と母の弁。
気づけば母の手の中に、うさぎが居たのだった。
「どうやって飼うの?」
と聞けば、うさぎ専門店の店の人に、飼育方法を聞いてきたとのこと。
どうやら本気らしい、とこの頃になってようやくわかる。
うさぎのことなんてさっぱりわからない俺と、さっぱりわからないけれどとにかく可愛いものに目がない妹。
さっそくうさぎにちょっかいを出しては怯えられて本気で落ち込んでいる妹を尻目に、俺はどうしたものかと途方にくれていた。
うさぎを飼うことそのものに、大した問題はない。
俺もうさぎは嫌いではないし、妹は言わずもがな。母親の様子からするに、親父の懐柔は済ませてあるだろうし。
犬猫を飼っているわけでもないし、まあまあ広い家だから、飼育するに不便はないだろう。
しかし、本当にうさぎを飼えるのか? という不安はあった。
あれは嘘だった